diamond bulk
NV center(Nitrogen-vacancy center)はダイヤモンド面心立方格子中にN原子を注入しC原子を置き換えると、隣接するC原子が欠損した構造をとる。
このNV centerに含まれる電子スピンは室温、常温・大気圧下で高感度な磁気計測を行うことができるとして現在世界中で研究が進められており、わが研究室でもその新奇な現象を追っている。
JAISTにはNV centerをダイヤモンド内に作成するため、国内でも珍しいイオン注入装置(GIFS)を所有しており、
N⁺ ionを直接ダイヤモンドに照射し、数nmオーダーの領域にNV centerを作成することができる。
High Power High temperature Diamond:
15N Irradiation temperature 600° implantation
35keV 1.2×1011/cm2
光学的磁気共鳴検出法(Optically Detected Magnetic Resonance, ODMR)
磁気共鳴現象を光学的に検出する手法。本研究では532ナノメートルのレーザー光入射により励起・生成されたマイクロ波印加による蛍光強度の変化を計測しNV中心スピンの磁気共鳴を検出する。
緑色のレーザー(532nm)によって励起された電子スピンはその緩和過程において赤色の蛍光を発します。このときマイクロ波のエネルギーを加えることによって0という準位にあった電子が1という準位に移行します。この1に移行した電子は確率的に蛍光しない過程を通るため、蛍光が弱くなります。
さらに外部からの磁場の影響でms=±1は外部磁場強度に比例してゼーマン分裂するため、赤色光輝度の低下点の周波数から外部磁場強度を検出することができます。